「退職代行」と聞くと、「会社を辞めたいけど、自分で言い出せない人のためのサービス」というイメージが強いかもしれません。確かにそれは事実です。けれど、最近はそれだけでは終わりません。
実は今、退職代行業者の中には「辞めた後の転職支援」までセットで提供しているところが増えてきています。
退職という人生の大きな節目に、次のステップまでサポートしてくれるサービスの存在は、精神的にも実務的にも心強いものです。特に「会社に行くのも辛い、でも次の仕事が決まっていない…」という人にとっては、まさに“駆け込み寺”のような存在になりつつあります。
この記事では、「退職代行+転職支援」という新しいかたちのサービスについて、どんな内容なのか、どんなメリットがあるのか、注意点は何か…といったことを詳しくご紹介していきます。
退職代行と転職サービスの関係とは
もともと退職代行サービスは、「会社に行かずに辞める」ための手段として広まりました。しかし、サービスを提供する側も「辞めた後のことまでしっかりフォローしたい」というニーズに応える形で、転職支援サービスを組み込むようになっています。
最近の退職代行サービスの進化
最初は「会社への連絡代行だけ」を行う簡易的なサービスが主流でしたが、今では書類の回収サポート、社会保険の案内、弁護士監修の安心プランなど、より手厚く・包括的なサポートが求められる時代に変わってきました。
その流れの中で、「辞めた後どうすればいいかわからない」という声を拾い上げ、転職まで一気通貫で支援するプランが登場したのです。
「辞めたあと」が重要視される時代に
日本の雇用環境は昔ほど安定しておらず、「終身雇用」はもはや幻想に近い存在です。働く人たちは、「会社を辞める」ことが珍しくなくなった一方で、次の職場を探すプレッシャーや不安も増しています。
そうした中、退職代行と転職支援がセットになっていると、単なる“脱出”ではなく、“再出発”への一歩として利用しやすくなるわけです。
なぜ転職支援をセットにするのか
業者側の視点で見ると、実はこれにもちゃんと理由があります。多くの転職支援サービスは、求人企業から紹介料をもらうビジネスモデルを採用しているため、利用者が転職成功すれば業者にも利益が出る仕組みになっているのです。
つまり、利用者にとっては「無料で使える転職支援」、業者にとっては「ビジネスとしての持続性」を両立できる、Win-Winの関係が成り立っているというわけですね。
実際にどんなサービスが受けられるのか?
「退職代行+転職支援」と聞いても、どんなサポートが受けられるのか具体的にイメージできない方も多いかもしれません。この章では、実際に提供されている代表的なサービス内容をご紹介します。
履歴書・職務経歴書の添削
退職後にすぐ転職活動を始めたい人にとって、最初の壁になるのが書類の作成。退職代行業者によっては、プロのキャリアアドバイザーが履歴書や職務経歴書を添削・アドバイスしてくれるサポートを行っています。
特に、久しぶりに転職する方や、キャリアに自信がない方には嬉しいポイントです。
転職エージェントとの連携
中には、転職エージェントと提携している退職代行業者もあり、退職が完了したらそのまま求人紹介を受けられる仕組みになっています。
業界や職種ごとに特化したエージェントが対応してくれる場合もあり、「自分に合う仕事がわからない」という人でも手厚いサポートを受けることができます。
面接対策やキャリア相談
一歩踏み込んだサポートとして、面接対策のレクチャーや、将来的なキャリアパスの相談にまで対応してくれるケースもあります。いきなり応募に進むのではなく、自分の希望や強みを一緒に整理してくれるのは心強いですよね。
無料と有料の違いについて
基本的に、提携する転職エージェント経由で転職活動を行う場合は無料で支援を受けられます。なぜなら、転職が決まれば紹介料が企業側から入る仕組みだからです。
一方で、個別に面接対策をしてもらったり、書類の代筆をお願いするような特別対応については、別料金がかかる場合もあるため、事前にしっかり確認しておくと安心です。
退職代行+転職支援のメリットとデメリット
退職代行に加えて転職支援まで受けられるのは魅力的に感じますが、当然ながらメリットもあれば注意点もあります。ここでは、両方の視点からリアルに解説していきます。
メリット①:精神的な負担を最小限に抑えられる
退職時というのは、誰でも少なからず不安やストレスを抱えます。「このまま辞めて大丈夫かな」「次の職が見つかるか不安…」といった心配がある中で、退職後すぐに転職活動をサポートしてもらえるのは、大きな安心材料になります。
特にメンタル的に疲弊している人にとって、「一人じゃない」と感じられるだけでも前向きになれるものです。
メリット②:再スタートのスピードが早い
退職と転職を別々に考えていると、どうしても期間が空いてしまいがちですが、両方を同時進行できるサービスを使えば、スムーズなキャリアの切り替えが可能になります。
最短では、退職完了から1週間以内に面接まで進むケースもあり、「ブランク期間が不安」という人には大きなメリットです。
メリット③:プロの力を借りて、より良い職場を見つけやすい
自分で求人を探して応募するよりも、転職のプロと一緒に進めた方がミスマッチも減り、希望に近い職場にたどり着ける可能性が高くなります。キャリア相談もできるため、「何が自分に合っているかわからない」という人にもおすすめです。
デメリット①:「急ぎすぎ」になる可能性も
ただし、注意点もあります。転職支援がスムーズに受けられるからといって、気持ちの整理ができないまま、焦って次を決めてしまうケースも少なくありません。
退職直後は気持ちが不安定になりやすいため、本当に自分が求める職場なのか、少し冷静に考える時間を持つことも大切です。
デメリット②:紹介される求人に偏りがある場合も
転職エージェントとの提携型サービスの場合、紹介される求人が一部の業界や職種に偏っているケースもあります。自分の希望と合わないと感じたら、他のエージェントも併用することを視野に入れると良いでしょう。
どう選ぶ?転職サポートつき退職代行業者の見分け方
退職代行と転職支援がセットになったサービスは便利ですが、どの業者を選ぶかによってサポートの質や結果に大きな差が出ることもあります。ここでは、信頼できる業者を選ぶためのチェックポイントをご紹介します。
実績やサポート内容の明確さ
まず注目すべきは、その業者がどれくらいの実績を持っているかです。例えば、
- 「これまでに○○件の退職支援を行いました」
- 「転職成功率○○%」
- 「転職支援実績○年以上」
といった具体的な数字や事例が公表されているかを確認しましょう。ホームページにサポート内容が詳細に書かれている業者ほど、信頼性が高い傾向にあります。
提携先の質(転職エージェントが信頼できるか)
提携している転職エージェントの質も非常に重要です。有名な転職サービスや、業界特化型の実績あるエージェントと連携しているかどうかをチェックしましょう。
中には「非公開求人が多数」「面接対策に強い」といった強みを持つエージェントと提携しているケースもあります。できれば、自分の希望業界や職種に合ったエージェントを選べる仕組みがあると理想的です。
一人ひとりに寄り添ってくれるかどうか
意外と見落とされがちなのが、「どれだけ親身に対応してくれるか」という点です。LINEやチャットでやりとりできる業者もありますが、返信のスピードや内容の丁寧さも重要な判断材料になります。
形式的な対応ではなく、あなたの状況や悩みにしっかり耳を傾けてくれる業者を選ぶことで、より安心してサービスを利用できます。
まとめ
退職代行サービスは、もはや「ただ辞めるための手段」ではありません。
現代では、その後の人生を支える転職支援サービスまでをセットにした、より実用的で安心感のあるサービスへと進化しています。
精神的に追い詰められているとき、将来が不安なとき、退職と転職の両方を一気に進められるのは大きなメリットです。ただし、焦りすぎて次の職場を早まって決めてしまわないよう、自分の気持ちにしっかり向き合う時間も大切にしましょう。
大切なのは、「辞めること」でも「働き続けること」でもなく、自分に合った働き方を見つけることです。
退職代行+転職支援というサービスを、人生の再スタートのサポートツールとして、上手に活用してみてくださいね。


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